私は副社長のおもちゃ 第2話

「じゃあジュースでも買ってきますね」

ジュースを買いに行って戻ると先輩は誰かと話をしてた。
私が席に戻るとその人がこちらを向いて挨拶してきた。
私は誰だかわからず一応会釈だけしといた。
「おい!お前ちゃんと挨拶しろよ」
「え?知り合いですか?」
「はぁ?副社長だろ」
「え?」
(そう言われれば…)
採用試験と入社後に数回しか見かけたことがなく、しかもいつもスーツ姿ばかり。
今日の副社長は私服姿で、
まさか目の前にいる人が副社長だとは分からなかった。
「お前いいから挨拶しろよ」
「初めまして、入社1年目で広報にいる安西浩美です」
「初めましてじゃないけど、覚えてないかな?」
「あ!はい。面接で・・・」
「そう。僕は君と面接でサッカーの話をしたから覚えていたよ」
「副社長もサッカー観戦するって言ってましたね。今日は誰といらっしゃったんですか?」
「妻とだよ。たまたま岸を見かけてね」
「副社長は俺の大学の先輩で同じサッカー部なんだ」
「じゃあ先輩はコネ入社ですね」
「おい!ちゃんと採用試験受けたよ俺は」
「安西さん、こいつが教育係じゃ厳しいだろ。いじめられたら俺に言いに来てね」
「副社長、こいつは厳しいくらいがちょうどなんです」
「じゃあ、妻が待っているからまたな」

プライベートで会う副社長は会社にいるときよりも話やすい感じで、壁がなく感じた。
「お前会社では副社長は忙しいし、立場もあるんだから気安く話しかけんなよ」
「先輩に言われなくてもそれくらい承知してますよ」
「お前本当生意気だな」

お腹も減ったし、その後は先輩と食事がてら飲みに行く事に。
もうだいぶ飲んでいたし、更に飲んでしまいかなりいい気分。
公園を散歩して夜風に当たりたくなったし、
先輩の手を引いて一緒に少し歩いた。

「こんな時間に手を繋いで散歩なんて、まるでカップルみたいですね」
「そうだな~。それでもいいぞ俺は」
「遠慮しときまーす」
「だからお前さぁ、たまには俺に会わせろよ」
「じゃあ、今だけカップルで」
「じゃあ、キスもあり?」
「調子に乗りすぎです」
「なんだ駄目なのかよ」

ベンチに腰掛けて、そのまま私は寝そべり夜空を見上げた。
「あ~夏の夜って気持ちいいですね」
「そうだな」
「そろそろ帰らないと終電ですよね」
「明日からまた仕事だしな」
「いや~本当に夏休みおわっちゃいますね。現実逃避したーい」

すると急に先輩が私にキスをした。

(なんだ今のは?キスだよね?先輩が私にキスしたってこと???)

「ちょっと急に何ですか?」
「こういうことじゃないの?」
「は?何がですか?」
「だってお前現実逃避したいっていうし、俺とお前って今はカップル中なんだろ」
「・・・。先輩!意味がわかりませんし、現実逃避したいとは言いましたがキスしてほしいとは言ってませんし」
「だったら、すまんすまん」
「いやいや、スマンじゃないですよ」
「まぁいいじゃん。よし、そろそろ帰るぞ」
「軽すぎますし、私久しぶりのキスだったし全然よくないんですけど」
「そうなの?お前いつぶりよ?」
「そうやってまたからかうつもりですか?もういいですよ」

今思うとこれを機に私と先輩の距離がぐっと縮まった。

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