私は副社長のおもちゃ 第5話

余計に意味がわからないし。
「すいません。意味がわからないんですけど」
「だって俺に怒ってるんでしょ?」

「いや、転びそうになった私が悪いんで、それを助けてもらって、たまたま胸を掴んで…。けど」
「けど?」
「その後のことは?」

「助けてあげたんだし、ちょうど胸に手がいったから揉ましてもらったよ。君にお礼をしてもらっただけ」
「お礼?そんなの聞いた事がありませんし、それに…」
「安西さんが困ってる姿がかわいくて少し意地悪してみた」

「そんなあっさりと言われると怒るに怒れないです。恥ずかしすぎます」
「続きはいいの?」
「結構です」

寝不足のまま出勤して、帰りの時間になった。
「おい!店先に行ってるからな」

そうだった。今日は先輩と約束してたんだ。
身体は疲れきっていたけど仕方なくいつもの店に。

「なんだお前その顔は?寝不足か?」
「まぁそんなところです」
「夜更かしは肌に良くないぞ」
「そうですけど、色々ありまして」
「なんか昨日あったのか?」
「いや、いいんです」

流石にあの出来事は先輩には言えない。

「大丈夫なのか?なんかいつもと様子が違うけど」
「大丈夫です。先輩、ところで今日はどうしたんですか?」

いつもなら、お酒を飲む先輩が今日は飲んでないし、先輩もなんだかいつもと違う気がした。

「お前に話したい事があってな」
「なんか改まって言われると緊張しますね。でどうしたんですか?」
「この前のキスだけど、冗談めかしたけどすまなかった」
「あ~あれですね。もういいですよ?」
「よくないんだよ。俺お前とはちゃんとしたいから、不意打ちみたいに自分勝手で悪かった」
「そうですか。分かりましたけど、もう本当にいいですよ」
「お前誰でもそうやって許すのか?」
「え?だってこうやって謝ってもらったし、それに先輩だから」
「じゃあ俺じゃなかったら?」

思わず昨夜の状況を思い出して、気まずい気がした。

「先輩じゃなくて知らない人ならそりゃ怒りますよ」
「それならいいんだけどさ」
「何がいいんですか?私的にはよくないんですけど」
「そうだよな。本当に悪かった」
「先輩どうしたんですか?」
「俺、お前の事が好きで、真剣に付き合いたいんだ」
「突然何を言い出すんですか!?」
「いや、結構前からだけど気付かなかったか」
「全然です」
「お前、俺では駄目か?少し考えてほしい」

先輩に告白されるなんて予想もしてなかった。
だっていつもからかって遊ばれてるし、
私だって先輩の前では女性らしい感じじゃないし、でも、嬉しかった。
先輩はなんだかんだ優しいし、一緒にいて楽しいし、何より尊敬してる人だし。
かと言って付き合うとなるとなんか照れくさかった。

それから一週間は先輩ともすこし気まずくなっていて、先輩は普通にしていたが、
私が距離を置いてしまって前のように話せなくなっていた。

仕事が終わり、携帯を見るとメールが届いていた。
「安西。仕事終わったらいつものとこで待ってる」
なんだかドキドキして、急いで待ち合わせのお店へ。

「なんかここに来るのも久しぶりな気がするな」
「そうですね」
「あれから一週間しか経ってないのに、お前のせいでやたらと長い気がしたよ」
「私のせいですか?すいません。私のせいかもしれません」
「お前さ~。俺が告白したからって急に態度を変え過ぎだろ」
「どうしたらいいのか分からなくて」
「どうしたらって?とにかく今までのような関係には戻れないのか」
「戻りたいです」
「なら、俺が告白しないほうがよかったのかもな」
「そうじゃなくて、先輩に告白されて嬉しかったんです」
「え?じゃあどうして」
「先輩は私の憧れの人で、一緒にいて気を使わないし楽しく過ごせるし」
「それなら俺と」
「でも、私女性として先輩に似合うかどうか、本当に私でいいのか」
「は?ほんと面白いやつだな。自分の魅力に気付いてないんだな」

「もう一度言うけど、俺はそんなお前が大好きだよ。俺のそばにいてほしい」
「・・・私でいいなら」
「お前がいいの!」

付き合って二日後には先輩の家に行った。

コメント投稿は締め切りました。