私は副社長のおもちゃ 第11話

その日も忙しく、あっという間に夕方になった。
先輩には、「仕事終了です。今から行きますよ」とメールしていつものお店に行った。

カウンターにいるはずの先輩がいない。
「浩美。こっちこっち」
お店の奥の座敷席から先輩が手を振ってるのを見つけた。

なんだか久しぶりの再会みたいでやたらとはしゃぎたい気分で駆け寄ると、
先輩の奥に別の男性の影があった。

(最悪だ。なんでいるのよこの人が…)

「この前はどーも」
「え?」

(何言ってるのこの人。まさか言うつもり?あり得ない)
「ほら出張の前日に居酒屋で・・・じゃなくてその店の前で会っただろ」
「そうなの浩美?いつですか?副社長」
「いやいやたまたま出張の前日の夜に安西さんの家の近くで飲んでてさ、お店を出た時に安西さんとすれ違って声をかけたんだよ」
「浩美、何も言ってなかったな」
「え?あ~先輩が寝た後コンビニに行った時だったかな」
「あんな所で安西さんに会うなんてビックリしたよ」
「そうですね。先輩次の日早くてもう寝てたから言えなくて、そのまますっかり言うの忘れてた」
「ところで二人は付き合ってるんだってね。岸から聞いたけど」
「あ、はい。そうですね」
「ふ~ん。おい岸、今はラブラブ時期だろ」
「まぁ今のところはそんな感じです」
「安西さん、岸をよろしく」

(この人、何考えてるの?)

岸先輩の家に帰ると二人で飲み直し、岸先輩は少しやきもちを焼いていた。
「浩美。なんで副社長と会った事言わなかったんだ」
「本当に忘れてたから」
「それに副社長を見るときの浩美の顔が赤くなっていたのは何でだ」
「そう?私人見知りだからじゃない」
「それだけか?」
「それ以外に何があるの」
「ならいいんだけど、少し離れてただけなのにこんなに心配になっちゃうよ」

そう言って私を抱きしめて、私の身体にキスをした。
何だかホッとした気分に満たされた。
でもあの時のような快感は味わえない。
先輩とセックスを終えるとシャワーを浴びた。
先輩は私が嫌がるのを知っているからもうドアもノックしない。
安心感ってこういうことかも知れないと思った。

明日も仕事だし、寝ようとしたら1件のメールが来た。

「岸と一緒かな?明日の朝6時にB棟1階にある第6会議室で待ってるぞ。来ないと・・・」

先輩より先に起きて支度した。
「どうしたの?」
「家に会議の資料が。取りにいってから出社するから」
「一人で大丈夫か」
「疲れてるんだしもう少し寝ててください」

会社に着くと、言われた会議室にすぐさま向かった。

(もういい加減にしてほしくなったし、今日はキッチリ話そう)

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