私は副社長のおもちゃ 第13話

気付けば始業時間まであと10分。
「もう行かないと」
「そうだな。じゃあ」

副社長は私よりも先にとっとと会議室を出て行った。

それからしばらくは副社長からの連絡はなかったし、先輩とも順調だった。
二人でデパートに買い物に出かけた日のことで、目の前を歩いている人に見覚えがあった。

先輩も私と同時に気付いたようで、先輩はその二人に向かって挨拶をした。

「こんにちわ」

「あら岸君じゃない、久しぶりね」
「こんなとこで会うなんて」
「お~岸。安西さんも一緒なんだね」

(もう二度と会いたくなかったのに…ましてや先輩といるときは)

「どちら様?」
「僕の彼女なんです。同じ職場の後輩です」
「じゃああなたも知ってるわけね」
「初めまして。安西です。副社長にはいつもお世話になっております」
「そうだね結構お世話してるかな」
「では僕達は失礼します」

先輩と私は二人を見送ると、副社長は振り返って手を振ってついでに私にウインクした。
「今浩美にウインクしてなかったか?」
「さぁ?それより行こうよ」

この日にお揃いのリングを購入。
ペアリングなんて初めてだ。
先輩が冬のボーナスでクリスマスプレゼントに買ってくれた。
私ってこんなに愛されて幸せ者だな。
久しぶりに副社長にあったけど、
なんだ奥さんとも上手くやってんだ。
あ~腹が立つ。
まぁもう私には関係ないけどさ。

年が明けて初出勤。
夜は会社内での新年会。
一番広い会議室にお酒やらお菓子やらオードブルが用意され、
どの部署の人も自由に参加する。
私も仕事を早々に切り上げ、新年会に。
初めましての人もいたけれど、みんがワイワイ会話していた。

先輩も後から合流。
少し酔ってしまった先輩は私の腰に手を回し、
何人かには交際している事を告げていた。

あ~あ、絶対言わない方が仕事しやすかったのに。
仕方ないか。
なんだか知らない人も沢山いて疲れるし、そろそろ帰ろうかな。

「明けましておめでとう、安西さん」

「副社長・・・。あけましておめでとうございます」

「アッ」

私の顔は火が噴きそうなくらい赤くなった。
思わず声を出しちゃったじゃん。
副社長が私のお尻をさりげなく撫でたせいで。
たったそれだけなのに、なんでこんなに熱くなるのよ。

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